中村氏、真山氏との御対談(一) 活動の源泉力は何か

真山氏 昨日か一昨日まで自動車で京都の方に行かれたそうですが、お疲れにはなりませんでしたか。

明主様 車は往きだけですが、私はあまり疲れてはいません。

真山氏 その源泉力と言いますか、源は何処から来るのでしょうか。

明主様 自然生活です。私の方の養生法というのは一寸違います。

真山氏 例えば、どういうことでしょうか。

明主様 体は無理をする丈良いとしているのです。だから、私はできるだけ無理をしてます。そうすると自然に鍛えられます。

真山氏 私等は無理をすると寿命を縮めると言っておりますが。

明主様 それは現代医学の説です。しかし本当は、人間は体を酷使するほどよいのです。スポーツマンは随分無理をしますが、人間は無理をする方が反って健康になります。ですから私はその主義で、何処までもその方針でやってます。そうして眠る事を少なくしてます。ですから睡眠不足を奨励してます。食べ物も、食べたい物を食べたいだけ食べるという主義です。ですからヴィタミンとかカロリーという事は必要ないのです。

真山氏 皆さんも大変顔色が良いですね。

明主様 そうです。これが本当の健康法です。それを知らないために、間違ったり、弱ったりするのです。特に甚だしいのがアメリカですから、そこで私はアメリカの人に分らせようと思って「アメリカを救う」を書いたのです。

真山氏 それを発見する動機と言いますか、どういう処から。

明主様 一番最初は自分で肺病を救った時です。その時私は医者の言うとおりにして、滋養、栄養をウンと摂っていたのです。それをやろうと思って色々考えた末、その頃絵をやっていたので、漢法の本を見て、色んな草根木皮の、何が何の薬になるとかあるので、こういう物が薬になるとすると、やはり必要に違いない。そうすると自分は今まで野菜をいけないとして動物的の物ばかり食べていたが……これで試してみようと思ってやった処がばかに良くて、三カ月ばかりですっかり健康になったのです。それで西洋医学に疑問を抱き始めたのです。

真山氏 それが自然に逆らうなという動機というわけですね。

明主様 そうです。そうして、大本教に入って、神という事と、霊という事を知ったのです。霊というのは、物質以外に、見えないけれども立派に実在しているものであって、それが凡ゆるものの原因だということを知ったのです。それで、病気も霊に原因があるので、つまり、霊が曇ると血が濁るのです。血が濁ったのが毒素になってそうしてその排除作用が病気だということが分ったので、その根本である霊の曇りを取ると病気も治るのです。その霊の曇りを取る方法を研究したというよりか神から教えられたのです。

真山氏 それが我々には一寸分らないのですが。

明主様 そうでしょう。ですから私が言いたい事……ではなくて、本当の事を言うと、一寸見当がつかない位変ってます。例えばあなた方が、何処か、盲腸なら盲腸が痛いという場合に、こうやって(御手を翳される)いる内に段々痛みが無くなって来て、それで治ってしまうのです。だから私の方では、盲腸炎などでも大抵二十分か三十分で全治してしまいます。毒が原因ですから、それを溶かしてしまえば、それが下痢になって出て、それで治ってしまうのです。

真山氏 それは科学的根拠はないのですか。

明主様 これは高級な科学です。ですから今の科学は程度の低い科学なのです。例えば黴菌にしても、今は黴菌だけを殺そうとしているのです。それは確かに黴菌が病原にはなってます。併しその黴菌は何処から来たかという事です。今日伝染という事になってますが、AにはBから、BにはCから……と、うつって来たとしても、結局その元は何処から来たかということになります。その一人だけが急にわいたわけではないのですから、それを極めないで、黴菌という結果だけに大騒ぎをやって、それを殺そうとしているのです。ですから因の、生まれて来る子供を生まれて来ないようにしなければならないので、そこに気がついたのです。そこで、その因の因というのは霊の曇りです。その曇りが、体の熱や色々な条件によって、だんだん濃厚になって来て固まるのです。凡て、濃厚になると固まるということは物質の原則です。そこで或る程度固まって来ると、そこに一種のヴァクテリヤが自然発生するのです。このヴァクテリヤというのは植物性無機質ですが、それがだんだん進んでゆくと、無機質から有機質に育つのです。それが黴菌の子供です。ですから黴菌を殺すというのは結果であって、曇りを取るというのが根本的です。ですから肺病なら肺病をやれば治ってしまいますが、それは病気の根原を治すことができるからです。

真山氏 我々の考えですと、手術とか、痛い目をして、高い金を使って、治れば結構だが、治らなくても……。

明主様 いや、治らないのです。それは全然科学ではないからです。何故なら、今言うとおり根本の霊の曇りを取るというのが科学的なやり方です。

真山氏 そうすると、非常に簡単な療法であるわけですね。

明主様 そうです。理屈に合っているのです。ですから私等は赤痢なども少しも恐れないです。むしろ赤痢になろうとしているのです。あんな結構なものはないです。

真山氏 その、手を翳される場合には触れるのですか。

明主様 いや、幾ら離れていてもよいのです。この光というのは非常に強いのです。これは原爆よりも強いのです。

真山氏 そういたしますと、放射能というのは今盛んに問題になってますが、害にはならないわけでございますか。

明主様 いや、害はあります。死ぬ者は死にますが、放っておけば助かる者は治るのです。

真山氏 それは教祖がなさらなければならないので、他の人では駄目というので。

明主様 いや、自然にしておけば治ります。人間の体には、そうやって治す力があるのです。例えてみれば、ヴィタミンが多いとか少ないとか、色んなことを言ってますが、医学の方では食べ物ばかりに栄養があるように思って、栄養を作る臓器を無視しているのです。ですから私の方では、食べ物はなんでもよいのです。それは、菜ッ葉ばかりでもオカユばかりでもよいのです。こういう話があります。荻生徂徠が豆腐屋に下宿していて、二年間オカラばかり食べて研究したということですが、こういう事などは今の栄養学者には理屈はつかないでしょう。腹の中の器能が作るということを医学は知らないのです。

(昭和二十九年七月二十一日)