寸鉄活人 (栄光百五十二号)

今は邪の字流行、曰くインチキ邪教、邪の道は蛇共、邪魔な彼奴と彼奴、ジャンと鳴る半鐘、ジャンジャン責める税務署、ジャレツク彼女、邪慳(ジャケン)な親爺、ジャジャ馬女房、オット、之は失礼じゃ--ないのじゃない

今は科学万能時代から、僕は治して貰いたいものがあるよ

巾着を狙う懐中の虫、人の命取り病、失恋自殺病、懐の慢性下痢、議員の発作的精神病、税金神経衰弱、袖の下病、赤色マラリヤ熱、額に角出す嬶の病、伜と娘のニキビ面等々、之が一つでも治ったら、科学を神様に祭って上げてやらないよ

拙者にもっと生神様らしく、重々しくして欲しいという人がある

つまりフワフワして、オッチョコチョイと見えるからだろう

言わば大いに気取ってくれというのだろうが、実は之が苦しいんだよ、育ちが育ちだからねー、諸君、察して呉れよ

(栄百五十二号 昭和二十七年四月十六日)