霊的病気

之から愈々霊的病気に就てかいてみるが、霊的病気とは即ち憑霊による病気であって、憑霊といっても多種多様な症状があるから、其一々に就て、順次かいてみよう。

(文明の創造 昭和二十七年)

病気と憑霊

病気の原因として、憑霊といふ事を知っておく必要があります。之を知らなくては解釈のつかぬ事が沢山出来て来ます。多くの場合、憑霊的病原は軽視出来ないものがあります。然し之を本当に知るには「霊覚」を持たなくてはならないし、といって又非常に誤られ易く、弊害も生じ易いので、先づ常識的に一通り知っておけばいいのであります。之は、病気の説明の時にお話しますが、大体死霊、生霊、動物霊の三つに分ける事が出来ます。

そうして、動物霊で多いのは蛇、狐、天狗、鳥類、犬、猫、馬、狸等であります。是等の動物霊が憑依して病気を起す事実で、例へていへば小児のヂフテリー及び喘息であります。喘息の場合、病原である水膿溜結を溶解しても、咳が止まらぬ場合があります。そういふ時は、大抵猫の霊が憑いてゐるんであります。ですからそういふ患者は、鼻と口の間辺に霊光を放射すると、とても噎(ムセ)るんであります。然し、それによって霊は畏縮するから、実によく治ってゆくのであります。

生霊
之は男女関係に多いもので、色情関係の怨みは殆んど男女の性器へ来るのも面白いのであります。流産などの原因には、此怨み生霊の場合が多い。妾と本妻の場合なども、両方で怨み合ふから、どちらか弱い方が病気に罹るのであります。

私は以前、俗に茄子といって、つまり子宮脱出症を治療した事があります。起った時には口許まで出る、座って半分位出るので、之が治らなければ離縁されるといふので、私も可哀想に思って、何とかして治してやりたいと思ったのでした。其時「貴女は女に怨まれた事はないか」と訊くと「ある」と曰ふのです。それは結婚前主人に約束した女があった為、その女が非常に怨んだそうです。つまり、其約束の女の怨みが、自然性交不能にすべく、前述のやうな病気にしたのであります。それから暫く通ふ内に半分位治り、田舎へ帰って半年位経ってから全治した-といふ礼状が来たんですが、全く之など生霊の好い見本であります。

次に、死霊ですが、以前斯ういふ例がありました。
五つになる男の子の喘息ですが、之が、死霊が憑いてゐてとても喉を締めつけられるやうに苦しがる。判明した所によると、現在は継母に育てられてゐるのですが、右の死霊は死んだ実母が、子供を自分の方ツマリ彼の世へ連れてゆかふと、絶へず努力してゐる。それが病原であったのです。症状は非常に苦しそうで、普通の咳と異ふのであります。顔色も死人の如く蒼白でありましたが、之も全治したのであります。

次に、蛇の霊も非常に多く、人体内では一、二寸位の大きさになっております。移動性の痛みは殆んど蛇の霊であります。又蛇の形の通り細長く痛む事もあり、とぐろ巻いた時は円く痛むのであります。幽門狭窄症や食道狭窄などは、よく蛇霊が締めつけてゐる事があります。胃癌を手術する為切開した処が、何もないので、周章てて元通り縫った-といふやうな話をよく聞きますが、之など全く蛇の霊であります。丁度、人間が蛇霊に飜弄されてゐる訳であります。胃痙攣や嘔吐等の場合にも、よく蛇霊の活躍が原因である事があります。又、以前馬の霊の憑った子供をやった事がありますが、之は、寝ると必ず手足を曲げて自動的に動かす、それが丁度馬が倒れて苦しむ通りの状態であり、其事を親に話したら、それっきり怒って来なくなり、終に死んでしまいました。鳥眼などは鳥の霊が憑くので、又、鼻の病気、即ち、蓄膿、鼻茸、肥厚性鼻炎など、大方鳥の霊で、以前鼻の悪い人で、目白の霊が憑いてゐたので、それを祀ってやったら直に治った事がありました。
不思議に鳥の霊は、鼻へ憑くのであります。

そういふ霊が原因の病気でも、浄化療法をやれば治るので、それは病霊の曇が除れると、人霊ならば浄化し、動物霊なら畏縮するからであります。其他、虫の霊などもありますが、やはり浄化療法で治ります。水虫は微小なる虫群であり、発疹など蟻群や、其他の水虫群の霊などもよくあるのであります。

死霊が病気を起さした面白い例があります。数年前、私の家内に肺病の死霊が憑いて、それはとても苦しそうな咳嗽が出ては、血痰が出るのです。其時霊査法をしたら、死霊が憑いてゐたのでした。それは、一年前に死んだ鈴木といふ肺患の青年の霊でした。実は其男が亡くなった時に祀ってやったのですが、其霊が曰ふのには「祀ってもらって有難いが、一年祭をしてくれなかったから憑いた」といふので、それでは直にお祭をして上げると言ったら、其場で家内の肺的症状はケロリと治ったんであります。

本療法によれば、別に祭ってやる必要はない。霊光によって、祀らなくとも、其霊の病気や苦痛はなくなる。つまり祀る以上に、霊が浄化されるんであります。要するに、死霊、生霊等は、確かに在るといふ事、それの病原も多いといふ事を、参考にお話したのであります。

(岡田先生療病術講義録 昭和十一年七月)