人体は綜合的である

現代医学が如何に間違っているかをかいてみよう。それは種々専門的に分類されてる事である。内科、外科は元より脳神経科、耳鼻咽喉科、眼科、泌尿科、婦人科、小児科等々であるが、考へても見るがいい、人形の様に手足や胴体を別々に造って繋ぎ合せたものではない、全体が相互関係で成立っている。これに就いて二、三の例をあげてみよう。

以前私は肛門から排便時、便所が真赤になる位出血をし、二週間続いてピタリと止まった事がある。ところがそれまで私は後頭部が始終重く、長話をすると圧迫感が強くなり堪えられない程であった。それが右の出血によってとても軽くなった。その頃は医学の誤謬を知ってからであったから、放任しておいたためで、若し医師へかゝったら痔の病気とされ出血を止められたかも知れない。是によってみても、痔出血は頭脳と関係のある事を知ったのである。

次にある若い女の歯痛で、浄霊するやすぐに治ったが、翌日又痛いといふ、みると淋巴腺に凝りがある、そこを浄霊するとすぐ治ったが、翌日又痛いといふ、よくみると肋骨に固結がある、それを浄霊するとすぐ治ったが翌日又痛いと言って来た。今度はもっと下の方と思い、盲腸部をみるとそこに固結があるので、そこを浄霊すると、今度は本当に治って了った。是はどういふわけかといふと、この女は盲腸炎で手術をした事がある。その際用いた消毒薬が残存膿化して歯ぐきから出ようとする。そのための痛みであった。故にもし歯医者へ行ったところで治る筈はないのでこれによって見ても人体は綜合体である事が判るのである。

今一つこういう事があった。それは高熱、咳嗽、喀痰等の症状で医師からは肺結核とされていた。ところが私が診ると意外にも、右側股間鼠蹊部に固結があるので、これだなと思ってそこを浄霊したところ短期間に全治したので、私は「あなたの肺は股にあったのだ」と言って大いに笑った事がある。是は全く鼠蹊部の固結が浄化によって微熱喀痰となり、肺臓内へ移行して咳と痰になったのを肺結核と誤られたので、これらはよくある話である。これだけでも人体の綜合体を知るによい例である。

これを国に例えてみよう、仮に日本とすれば関東が隆盛で関西が萎靡しているといふ事はあり得ない。国全体が連鎖関係である以上、影響し合ふからである。この道理に目覚めない限り如何程研究しても人を救う真の医学が出れる筈はないのである。

(自観叢書十 昭和二十五年四月二十日)