方法論と結果論

今日、本教によって行われている病気浄霊療法は、兎角世間から誤解され易い憾みがあるから、茲にその点を詳説してみよう。本教浄霊法が治病効果の素晴しい事は近来大分世間に知れ渡って来たが、未だ大部分の人、特に専門家の一群には相当誤解があるように聞いているから、その蒙を啓くべく、此文を書いたのである。

今日迄非難する者の言を聞くと、医療よりも効果が少いという点は一つもない、然らば非難の点はどこかというと、方法が間違っているというのである。その方法が、違っているという事は非科学的、迷信的だというのである。私はそれに就て反駁してみるが、彼等が非科学的迷信的であるというのはどういう訳かというと、機械や薬剤の如き物質を使わないからだとしている。処がそれも無理はない、何となれば療法の対象物である人体を彼等は動物となし、物質と見做すに反し吾等は人体は物質のみではない、眼には見えないが精霊があり、霊体両様の原素から成立っているのが人間であり、而も霊が主であって、霊の動き即ち意志次第で体は動かされるというのであるから、いう迄もなく唯物的解釈と唯心的解釈の相違であって、一口に言えば体主霊従と霊主体従の差別である。之によって、彼等は物質を治すには物質を以てするに反し、吾等は霊を治すには霊を以てするのである。

然らば右の二様の観方は何れが是であり非であるかを決定するとしたら、それは何によって正確な断案を下し得るかという－その事こそ問題解決の鍵であらねばならない。とすればその条件として絶対誤りのない方法としては、実際的効果による外はあるまい。その点に就て、唯物的解釈は眼に見える物質を対象とする以上、何人にも認識され易いに反し、唯心的のそれは、眼に見えない空に等しきものである以上、簡単に認識させ難い不利がある。此点を利用し彼等がいつも非難を浴せる場合、毫も結果には触れないで、方法のみによって批判するのであるが、之は眼に見ゆる以上耳裡に入り易い訳である。処が事実は治病方法が、機械と薬剤を如何に応用するも治癒せざる病患に対し、吾等が機械も薬剤の力も借りないで、ただ人間手掌の操作によって驚くべき治病効果を発揮するのであるから、一言にしていえば一方は理屈に合って治らない、一方は理屈に合わないで治る。一方は方法を主とするに反し、一方は結果を主とするという、その異いさの点に注目すべきである。勿論此方法論と結果論は孰れが是か非かはあまりにも判り切った話である。

以上の論理を更に徹底してみる時、斯ういう事になろう。結果の非である方法が仮令え科学的であっても、実際に役立たないとしたら少くとも正しい科学ではないという結論になり、右に反し結果が是であるとすれば、それは、実際に役立つべき正しい科学という事になろう。ただ可視と不可視の相違だけであって前者は可視的非科学となり、後者は不可視的科学という事になろう。以上の理によって、私の此論旨がもし誤謬でありとすればそれは反駁すべきであると共に、万一反駁出来難いとすれば、今後は方法論を撤回し、結果論のみによって唯物医学と唯心医学との論戦を戦わすべきが本当ではあるまいか。斯くして真に人類に役立つべき新文化の発展を期待し得られよう。

（自観叢書十二　昭和二十五年一月三十日）