編輯部客員松井誠勲氏は、此著に明かな如く、基仏を初め宗教上の各分野に渉って蘊蓄(ウンチク)深く、為に本教に対しての批判も、その犀利(サイリ)の眼と明徹なる言説は、宗教批評家として已に一家を成してゐると思ふ。
偶々、余を以てキリストと比較検討された事は近来の快事というべきである。之に対し余は謙遜的否定もせず、自讃的肯定もせず、只時の判定に委すのみである。
兎に角、キリストは天国は近づけりといひ、余は天国を樹立するというにみて、そこに二千年の時を矩って、何等かの霊的連繋ある事は否定出来ないであらう。
以上の意味に於て此著を読まるれば、必ずや神の密意に触れるであらう事を附言するのである。
(自観叢書十五 昭和二十五年一月二十五日)