日本医学の建設(三) 脳疾患

脳病には、大体数種あるが、先づ、脳貧血から説明する。

脳貧血とは其名の如く、脳の貧血であって如何なる原因かといふに、元来、人間の血液は、心臓に依って浄化される事は、今日迄の医学上の解釈であるが、実は、心臓ばかりで浄化するのではない、血液自体が循環運動をする、其運動其のものに由っても自然浄化をするのである。浄化の結果は、循環の速度を増すのであって、それが健康を増す事は、医学で説明の通りである。

然るに、血液浄化に因って其不純物が、自然滞溜する場所があるのである。其場所は主に頸部の周囲及び肩胛部なのである。頸部一帯特に、延髄に、汚血滞溜する時は、身体より頭脳に送るべき血液通路である血管が圧迫さるるを以て、頭脳が要すべき、血液の量を送る能はず、従而血液に不足を来すのである。之が即ち、脳貧血であって、症状としては頭痛及び、頭脳の圧迫感、眩暈(メマイ)、耳鳴り、蓄膿症、眼の翳(カス)み等の外、反射作用に由る胃の不快と嘔吐感、陰欝、世に、神経衰弱と称する症状である。

大体以上の如くであるが、之は、余が浄血療法に依る時は容易に快癒するのであって、其治療日数も、普通は一週間位、重症にて二三週間もあれば、確実に全癒するのである。長年の神経衰弱が一二回の治療にて、全癒せし事も屡々ある。

(光明世界四号 昭和十年七月二十五日)