創刊の辞

吾等は今回「光」といふ小新聞を発刊する事となった。いう迄もなく日本観音教団の機関紙としてである。本教団の目的は病貧争絶無の世界である処の地上天国を目標として活動しつつある宗教団体である。

飜って思ふに、如何なる宗教と雖もその目標たるや、人類から苦悩を滅消し、理想の世界実現にある事はいふ迄もないが、ただ問題は其実行力である。如何に善美な事を口に言ひ筆に書くと雖も、実現の可能性がないとしたら、畢竟空念仏以外の何物でもあるまい。

吾等は決して他を誹謗する考えはないが事実は事実として書くだけの事で、此事は何人も知る処である。

本教団が今実行しつつある処のものは、個人としては病難、貧困が解決され、それに附随する争は解消する。その結果として天国的家庭が実現する事である。そんなうまい話が此世智辛い世の中にある筈がないと誰しも思ふであらう。がそれも無理はない、何となれば歴史有って以来、未だ斯様な強力なる救の力の発現は、人類の経験になかった。

処が、事実は事実である以上、本教団に触るる事によって何人と雖も納得がゆくであらう。此偉大なる救ひの力を普く世に知らしめ一人でも多くの幸福者を造るのが本意であり、それが人類救済の大業を吾等に委任され給うた神に応える所以であると思ふのである。

此暗黒無明の社会に対って「光」のつぶてを発射し、忽ち暗の解消する処、天国化するといふ信念を以て邁進するのみである。以上発刊の辞かくの如し。

(光新聞一号 昭和二十四年三月八日)