巻頭言

中国の共産化によって予期した事とはいひ乍ら、日本も安閑として居られなくなった昨今、その萌芽は已に各方面に表はれ始めたようである。こゝ暫くは共産反共産、の摩擦は免れ得ないであらう。此渦中にあって凡ゆる宗教は如何なる動きを見せるであらうか、実に難しい世相とはなったものである。といって宗教家として超然たり得ることも出来得まい。

之等に対し、吾等の見解を述べてみるが、吾等の目標である地上天国の出現が間近に迫ったにつれて世界の凡ゆる面に大変化の起るべきは当然過ぎる訳であるとすれば、共産反共産の葛藤も、神の経綸の一部と観るべきが本当ではあるまいか、とすれば一寸先も判らぬ人間の眼で視、凡智で判断した処で、前途の帰趨を掴め得る筈がない。

此意味に於て、吾等宗教人は、宗教人としての最善を竭(ツク)し、一日も早く両派の妥協によって、平和世界の生れる事を念願し、時を待つより仕方ないであらう。

(地上天国六号 昭和二十四年七月二十日)