恐るべき農村結核

左の記事は去る二月二十二日静岡新聞に出ていた静岡県引佐郡井伊谷村の実情であって、この村は特別結核患者の多い区域とされており、現在その対策に村中大童になっているので、これを読んだ私は日頃唱えている通りであって、今更不思議とも思わないが、これに就いて一通りかいてみるが、何よりも右の状態は到底学理では解け難いであろう。それは結核の原因として、医学は空気が悪く不摂生な都会生活などが、最も悪いとされているに対して、左の記事はそれを余りにも裏切っているからで、実に意外と思うのは吾々ばかりではあるまい。而も検診の結果は、小学児童の大半が陽性であるというのであるから、これこそ由々しき大問題である。何故なれば今日の医療の例では陽性者はいつかは必ず本物となるのが殆んどであるからである。

従ってこの分で進むとしたら、農村の子弟は成長するに従い、大部分は結核患者となって了うであろうから、今日最も重要問題とされている食糧増産に対しても、影響する処甚大であるであろう。としたら何としても急速にこの問題を解決せねばならないが、困った事には当局に於て、この解決に対する名案が恐らくあるまいからである。何故なればこれ程酷くなるまで、どうにもならなかった事実にみても名案のない事を物語っている。処がこれこそ本教浄霊法を措いて他にない事は明白である。

『村から結核閉出し 日本一の汚名返上に井伊谷村で』

(三カ日発)全国の例から見ても、比較的都市に多いといわれる結核が、空気の清浄な筈の湖北の山間村が恐らく日本一に結核患者が多いだろうという村がある。引佐郡井伊谷村がそれで、同村では昭和二十五年ツベルクリン反応注射を実施した結果、驚くべき事実を発見、直ちに郡下各町村から二十六名の井伊谷村結核対策委員を選出し、その後一般に結核に対する知識を普及すべく努力しているが、三カ日保健所が行なった二十七年度結核検診結果をみると斯うなっている。 

◇被検者 小学校生徒五六○名中、陽性三四八名、擬陽性一四三名、陰性六九 名。中学校生徒被検者三六七名中、陽性二八六名、擬陽性五九名、陰性二二名。幼稚園児童被検者七五名中、陽性四二名、擬陽性一二名、陰性二一名。一 般被検者二○八九名中、陽性一二五○名、擬陽性二九七名、陰性五四二名。計 被検者数三○九一名に対し、陽性一九二六名、擬陽性五一一名、陰性六五四名となっており、又レントゲン撮影の結果は、間接撮影実施総数三千四百五十五名のうち、再度直接撮影を行った者は小学校生徒四十二名中、要療養二名、要休養七名。中学校二十四名中要療養なし、要休養二名。幼稚園二名、なし。要注意者は小学校三十一名、中学校十九名、幼稚園二名となっており、このうち要療養者のみを患者とみなしても三十七名で、二十六年度以後の既患者(現在も病床にある者)六十一名と合わせると九十八名の患者があるわけで、更にこのほかに病院に入院中の者を加えると、同村の人口約四千二百名の三%に上るだろうといわれる。

結核といえば不治の病といわれたのは昔の事、科学の進歩した現在においては各種薬品から気胸を始め数数の治療法ありとはいえ、先立つ物は金の世の中、一人入院するとすれば、年間約二十万円は入用、従って同村の患者全部を入院させるとすれば、年間実に一千九百六十万円はかかる事になり、収入の少い山村では村民全体が結核の為共倒れになる事になる。今井伊谷村では結核日本一の悪名を返上すべく全力を挙げて努力、二十日午後一時から行われた井伊谷結核対策委員会で村当局では次のような意向を示している。

1)早急に病舎を設けるべく努力する
2)国民保健を行うよう努力する
3)毎年レントゲン撮影を全村にわたって行う
4)結核に対する知識の普及に徹底を期する

(栄光百九十九号 昭和二十八年三月十一日)