此題を見たら一寸吃驚するだろう、然し読むに従って、之は本当の理屈であるから、成程と思うであろうし、此事も知っておく必要があるから、思い切ってかいたのである。
之は世の中の人は、誰でも知らない人はない位に、医学では仲々病気は治らない。成程一時は一寸治ったようにみえても、時が経つと必ず再発したり、悪化したりする。此点医学では其根本が分らないから致し方ないが、そんな訳で少し名のつくような病気になると根治は先ず出来ない。大抵は散々長引いた揚句、命にまで関わるような事になる。斯んな訳で何程信用し切っている医学でも、実際に治らないとしたら、考え直すべきだが、そうかといって外に方法も見当らないので、仕方なくなく之に齧りついているに過ぎないのが実状であろう。其為病人は民間療法や其他色々なものに迷ってみるが、どれも之も真に治るものは先ずないので、最後は既成宗教という事になるが、之も同様仲々治らないので、トドの詰り本教へ来る事になり、茲で初めて本当に救われ、元通りの健康者になって仕事も出来る様になるのであるから、此事実によってよく考えてみて貰いたい事は、本教に救われる其元はといえば、何よりも医学では治らないからであって、若し医学によってドシドシ治るものなら、それで済んで了うから、吾々の方に迄来る病人は一人もないという事になる。処が茲に一寸気の付かない大問題がある。というのは若し医療だけで健康になって了ったとしたら、悪人は善人になる機会がないから、社会悪は何時になっても無くならない。相変らず悪人は横行して善人を苦しめる。というのは誰も気がつかないが実は大問題である。併し乍ら宗教で救われれば、肉体も健康になると共に、心の底迄浄められて、悪人も善人に変って了うから、之で霊肉共に救われ、結構な世の中になるのである。
右のような訳としたら、つまり医学が病気を治す事が拙ければ拙い程、宗教で救われる人が多くなるという訳だから、現在の結果から言えば、医学が宗教を旺んにして呉れるという訳で、之は決して皮肉でも何でもない。事実であるから何共仕方がないであろう。然し誰も其処迄気の付く人は殆んどないであろうから、私はかいたのである。又斯ういう事にもなろう。罪人が出来るから法律が必要となり、病人が出来るから医師が必要となるのであるが、現在の法律でも医師でも駄目だとしたら、茲に宗教に注目せざるを得ない事になろう。其表われこそ何よりも本教の発展がよく物語っているではないか。標題の意味は之で分ったであろう。
（栄光百二十六号 昭和二十六年十月十七日）