自然農法体験者座談会

期日 昭和二六年三月一三日

場所 名古屋市東区
   K中教会本部

司会本日は御多忙の処を、多数御参集下さいまして有難う御座居ました、本教の自然栽培は、明主様の御主唱の下、全国到る処に相当の成果を収め、自然栽培の真価を、遺憾無く発揮致して居ります、本日、皆様の御参集を願った所以は長年自然栽培を実施され、そのエキスバートとして、幾分でも、全国の自然耕作者、亦は初心者に裨益する処あらば、幸いと存じまして御願いした次第です、皆様には、如何なる問題に置きましても、腹蔵無く、赤裸々なる御意見と疑問を御話下さいます様、御願い致します、では早速ながら昨年の米穀収穫状況から……

被害あれども有肥実収を遥かに凌駕す

A(三年) 私の田は痩田でありまして、普通平均が、今迄有肥田で約五俵から五俵半位の収穫でありましたが、台風による被害がありまして、初年度は、六俵程の収穫でした、二年目は七俵、三年目が幾分落ちた様ですが、それも台風の被害と、肥毒の浄化が影響した為でしょう、私の処は、坪刈で予想を見た処が五俵程だろうと思っていましたが、実収は六俵程ありました、それでも、他の有肥田では、五俵から五俵半程度だったと思います。

B(二年) 私の方は、一年、二年共、各一俵位の増収でした。

C(三年) 私の方は、東三地方と言いますが、収穫量は、一年、二年、三年目共増収でした、三年目などは、平均六俵から七俵位なのに、八俵一斗程の収穫を得ました、有肥田では、七俵も穫れば、それはいい方なんですからね。

司会四年目のDさんの処はどうでした。

D(四年) 私の処は、飛騨の高山で、単作地帯ですが、収穫も昨年は、三年目より、良く出来ました、三年目よりは、二割から三割は増収という予想でしたが実際は、少々、少なかった様でした、此処の平均収穫は、五俵半から六俵位ですが、私の三年目は、一〇俵程あったでしょう、それも作柄より少なかったのは、台風の被害が多分に左右していますね、四年目の実収は約一一俵穫れました。

司会収穫時期の稲穂の状況は如何でした。

D 一〇月の一〇日頃、 刈込むのですが、 その時期には大抵、稔って、穂が倒れ、茎の折れるのがありますが私の稲は茎が強靭で、穂が太鼓橋の様に垂れ下がって一本稲穂を手に取って眺めて見ましたが、実に何ともいえない美くしさでしたね。

司会粒と分蘖はどうでした。

D 品種の美濃旭の方は穂粒が、一〇〇粒から一七〇粒位で、分蘗は二十二、三本程でした、愛国二〇号は一〇〇粒から、二六〇粒位でした。

司会今度は、皆様が現在、播いていらっしゃる品種について御伺い致したいものです、品種は変えない方がいいでしょうね。

E(三年) 去年、私は坪刈をやって見ましたが、品種によって、確かに相違がありますね、二〇年、三〇年、其土地になじんでいる品種の古い方が、一番いいのではないかと思います。現在の奨励品種は悪いですね。

F 去年は、農林三六号、三八号の品種は、特に被害が甚だしかった様ですね。

A 私の処は、農林三八号ですが、私の田のみくねくねと蛇の様に、亦、蝗の足の様な稲穂でした、それでいて茎は大変強く大きいのですからね。

C 私の方は「黄金の甍」と形容してもいい位、立派な稲穂だったですね、品種は旭千本です。

D 私の品種は、美濃旭と愛国二〇号です、品種はその土地、土地で多分に違いますね。

G(三年) 私は愛国と白餅を作っていますが、年々品種は其儘で同じものを作っています、去年は愛国の方は、風水害で減収を少々致しましたが、白餅、平均六俵が、去年は八俵程の増収を示していました、私は品種を変えない方が、増収するんじゃあないかと思います。

A 私は品種を変えましたが、五反は五反でも、やはり、その土地の土質分に合った品種が一番いいと思います。

司会御報告に依りますと、格付三等が、全般的に多く、二等米などは僅少ですが、何故三等なのか御説明下さい、自然米は、悪くて三等、屑米は無い。

E 風水害等が全般に酷い影響を与えているのが、最大の原因です、その上、価格も二等とは大差無く、二等と三等の差が七〇円程で、米選機にかければその費用だけで、ずっと高くかかりますから、その為、二等で出せば、損をするという訳で三等で出すのです。

H(一年) 自然米は、乾燥とか、色々の手間がはぶけて、その儘、手取早く出せますからね。

I(二年) 私は自然農法が余り一般に広く知れ渡っていないので、見せた処が郡では一等米の折紙が付いたのですが、県では二等米に落ちていました、出しただけ二等米になったので、それだけ儲けた訳です、後の分は、その儘、俵詰で三等米で出してしまいました。

F 当地方は格外(五等米)が相当多く出たのですが、自然米は最低三等米で屑米などは、全然有りませんね。

司会次は、裏作に就ての御意見を御伺い致します。裏作は肥毒の害が甚しいが一年、二年継続の自然農法で収穫は確実に増収。

D 麦が悪い原因は、播く時期にあると思いますね。私の処は山間部ですから、一般の播く時期より、一週間或は、一〇日間早く播いていますが、平野地の皆様は一毛作でない限り難かしいでしょうね。

I そうですね、平野地は山間部と違って、天候の加減とか、種々の点で、二毛作の限りでは早播は出来ません、何様自然栽培は稲の黄色く実るのが、有肥田に比べて、ずっと遅れています、麦播の時期と切羽つまって居ますから、早く播く余裕なんて有りません。一毛作だったら、それは可能です、亦麦を早く播くと天候の加減で、寸時の間に四寸程伸びてしまって、失敗の可能性も大きいと思われます。

J 結局、一年二年と肥毒を排除しながら耕作して行くんですから、初めから、多量の収穫を得ようとする事は無理ですね、一年間はパッと振わなくても、二年目、三年目では真価を発揮しているのだから、吃度増収は間違い無しです。

K(二年) 私は初年度は、平年作で、昨年は、平均二石四斗から二石六斗位の処を、三石穫れました、今年は未だわかりませんが有肥より発育が遅く、衰えている様に見えますけど、分蘖は多いですね、品種は尾張のを分譲して頂いて、播いたのですが、以前からの土質に合ったのを播いた方が、確かにいいですね、稲作と同様に土質に依ると思います。

豆類の増収は顕著

L(三年) 豆類は、非常な増収ですね、今年で三年目ですが。

E 豆類は余り肥毒が無いから、いいんですね。

K 自然栽培は菜葉、大根には大変いいが、西瓜等は、ほとんど効果を発揮していない様ですね。

E 野菜は夏に草を刈っていれたもの、ほうれん草などはよく出来ますね。

司会では、この辺で本日の自然栽培座談会を閉会致したいと思います、長時間に亘って、かくも有意義な御説を拝聴出来まして、誠に有難う御座居ました、皆様に、おかれましても、明主様の有難い御手引きを推戴されて、尚一層御努力勉励され、唯神の精神を農業技術に加えて大なる収穫と、農業経済の安定の上に打樹てられる様切望して止みません、私達も皆様の体験資料を生かして全国の農民の皆様へ福音を伝え、本当の自然農業の真価を普及して行くべき事を心より御誓いする次第です。

(栄光百二号 昭和二十六年五月二日)