鼻病

鼻病で一番多いのは蓄膿症であります。蓄膿症は、鼻の孔が塞がる症状で、之には根原が二種あります。それは、鼻柱の両脇の場合と、眉間から両眼の間に膿が常に溜っては鼻孔から出ようとする。然るに膿が濃い為に出切れず、途中で固まるのであります。

普通左右交互に塞がるもので、治療をすると直に通る様になります。

診査の場合、鼻柱の両側を圧して痛いのと、又眉間の中央が重いのは、其処に水膿溜結があるからで、眉間の方の患者は治癒の際、鼻血が出る事があります。

先づ軽症で二、三回、重症で二、三週間で全治するのであります。

鼻茸は、鳥の霊で鳥の嘴が物質化する。それが丁度、茸の如ですから名付けたものと思います。之もよく治ります。浄化作用をすれば段々畏縮し崩壊するのであります。

先づ軽症で一週間、重症で一ケ月位で全治致します。

肥厚性鼻炎は、鼻汁に含まれてゐる毒素の為で、それによって鼻孔の粘膜が荒れる。それがおデキになり、痛み熱を持つので、常に鼻孔が乾くのであります。之も鼻を中心にその附近をやれば毒素が解消するから治るのであります。 先づ軽症で二、三週間、重症で一、二ケ月かかります。

無嗅覚は、鼻神経の元は小脳にありますから、其間の神経に水膿が溜結して無力にしてゐる為で、それを溶解すればいいのですが、之は深部の為-相当時日を要するのであります。

軽症二、三ケ月-重症一、二年を要します。

(岡田先生療病術講義録 昭和十一年七月)