(二)盲腸炎

此病気は、近来非常に多いのであるが、症状は、胸部より右下一寸か一寸五分位の辺が非常に痛い。高熱を発するのである。原因は三毒の不断の浄化作用による溜結であって、それの急激な浄化作用である。医学で唱へる食物の為ではない。何となれば、盲腸炎発病前、盲腸部を圧すれば、可成痛みを感ずるものである。そして此病気は何等手当を施さず、ただ安静にしてゐさへすれば必ず治癒するので、普通激痛は一日位、二、三日過ぎれば痛みは殆んど軽減し、一、二回の下痢があって完全に治癒するのである。切開手術の必要などないのである。よく医家は化膿を恐れるが、何ぞ知らん化膿すれば、半分治癒したのである。何となれば、膿結は高熱によって溶解した事を化膿といふのであるが、実はその溶解膿は、間もなく下痢になるのである。元来、盲腸は扁桃腺と同じやうに毒素の集溜部であって、それから便で排泄されるのであるから、大いに必要なものである。

故に、此盲腸即ち虫様突起を除去する時は、膿の集溜場がなくなるから、毒素は腹膜或は肝臓部等各所に集溜するから、盲腸部より排出し難い場所に溜る事となる。又、氷冷して浄化を停止させると、一旦治癒したやうに苦痛は無くなるが、程経て浄化作用即ち再発-といふ事になる。

医学では盲腸は不必要なものであるから除去した方がいいといふ。が之は、驚くべき人間の僣上沙汰である。何となれば、そんな不必要なものを作っておいたといふ造物主は実に間抜であって、廿世紀の医学者より愚かであるといふ理屈になるではないか。

(医学試稿 昭和十四年)