胃病 (一)消化不良

一口に胃病といへば、なかなか種類は多いのである。一々に就て説明する。

胃病の最初は、大抵消化不良である。原因は食事の分量を定め、食事の時間を規則正しくするからである。何となれば、時間や量を定めると、以前のが消化しないで、停滞してる上に食物を入れるから、古い方が醗酵し、其毒素の為である。凡ゆる食物は消化の早い物と遅い物とがある。又、人間の動作に於ても、運動をする時としない時とがあるから、三時間で消化して了ふ事もあるし、五時間経っても消化しない事もある。従而、次に食事の時に量及び時間(勤務者は時間は不可能故量にて調節)にて調節するのが本当である。世間往々量と時間を規則正しくせよといふ事は、如何に間違ってゐるか判るであらふ。

胸焼-之は胃の附近にある毒素に対する浄化作用の微熱である。

胃アトニー、一名胃酸過多症といひ、之は胃酸が多過ぎるのであるが、此原因は薬剤中毒で、服用した薬物が一旦吸収され、再び酸となって胃中に還元するのである。

(医学試稿 昭和十四年)