寸鉄活人 (栄光百五十五号)

此間日比谷公会堂で、拙者は言霊のピカドンを放ったら、御腹に威張っていた御客様連中、みんな縮み上って、腹の中のヒビヤ(日比谷)脛傷の痛みが出て、熟々公会(後悔)堂とはいい名だね

日比谷の講演会の大入満員は、近来例がないとの話、吉田首相の講演会の時よりも、演芸者大会の時よりも、ズット盛んだとの話、してみると拙者の人気は大したもんだと、自惚れてみたが、よく考えるとロハの為だと分ったので、オヤカシた鼻もペッチャンコ

結核新薬ちうものは屁みたいなもんだね

時々出てはプスプス消えて了うんだからさ

今度のハイドラジットという薬にしても、大分音は大きいようだが、何れはプスリ組だろう

処が世の中は様々で、此大きな屁を大金を出して買いたがっている人があるんだそうだ

其揚句魂が屁と同様プスっと抜けちゃうだろうから、彼の世へ往ってブースーぬかしたって、屁のつっかい棒にもならないよ

世の中の奴があんまり分らないので、懲らしめの為に、大きな灸を据えてやろうと思うよ

だから拙者は大救世主じゃない、大灸据え主なんだ、と言ってもお灸の先生と間違えちゃ困るよ

今は虫ケラ時代だね

ブンブン蚊が喰うような文化族、糞蠅のように禿頭を舐める奴、モグラになって世の中を壊そうとしたり、油虫役人が威張ったり、夜になると尻を光らす螢女、国の土台を揺がす白蟻、蜻蛉のように目玉グリグリのパチンコ虫、自動車乗逃げのヘッピリ虫、懐を狙う挾み虫、始末の悪いのは、直に角出すデデ虫嬶だが、之は内緒々々

(栄百五十五号 昭和二十七年五月七日)