寸鉄 (光新聞七号)

春の季節は三、四、五月である 処が春半にも達しない四月初めサンマータイム(夏時間)をやる頭脳は俺には判らん

春を夏と思ふ人間は 蝉や蜻蛉よりも以下じゃないか-とはチト失礼が過ぎるかな目下政府は発行手形の処置に臍を噛んでゐる

政府発行の手形を割引する銀行はないかね 誰だ 信用がないからだとは

朝日新聞は信仰雑話の広告を拒絶した よほど神様がお嫌ひとみえる マサカ悪魔がお好きでもあるまい

唯物主義は不幸を生み 唯心主義は幸福を生む

税金の為に世の中へ拡まった宗教は恐らくあるまい 釈迦もキリストも 天国で苦笑され給はん

政府の威信と 国民の幸福とを秤にかけたら 威信の方が重いんだとさ

悪魔の下僕としての唯物主義者

悪魔曰く 「俺の一番恐ろしいものが出た」といふから よくみたら 光新聞

(光新聞七号 昭和二十四年四月三十日)