寸鉄 (地上天国三号)

天に口なし、寸鉄を以て言はしむ

曰く税金地獄、曰くインフレ地獄、曰く小菅地獄、ア丶面倒臭い

明るい暗、正直な嘘、火のない戦争、封建自由主義とは、何が何だか判らない

寸鉄は活字のラムネだ、ピリッとしてスーッとする

夏も冬も一枚の着物で押し通す事を誇ってゐるものがある、笑ふ勿れ読者よ、それが政党が一貫を誇る主義といふものだ

吾等の主義を示せば世界主義、人類愛主義、平和主義、幸福主義、天国主義、何々主義、アゝクタビレタ

闘争の二字を使はないようになった時が労働階級が幸福になる時だ 

日本の新聞の商業主義が嘘を書かせる

東京の大新聞に、本教団の資産二三十億と出てゐたが、此嘘は約百倍に当る、所謂嘘のインフレだね

哀願候補者、悪口候補者、効能書候補者、姓名広告候補者、味噌臭候補者、等々-- ラジオの感想

片手では銀行の通帳押収、片手では貯金の奨励、とはややっこしい

帝銀の平沢は、劇作家としての才能を認めない訳にはゆかない

アメリカの黄金色とソ聯の赤と、英国の紫と、フランスの浅黄色と、中国の青と、インドの土色、ドイツの褐色、日本の緋といふ具合に、種々な色によって立派な画が出来上るのだ、一色では画にならない

納税苦をキャッチして進出した共産党ではある

吉田さんの上品な、鷹揚な態度が民自党をして第一党たらしめたのだらう

片山君の糞真似目な風貌が、社会党を萎縮さしたと観る

犬養氏の理智的で、好感を持てる新人振りが、民主党を支えた感がある

(地上天国三号 昭和二十四年四月二十日)