著述編

自観叢書

真理の具現

抑々、宗教の真の目的は何であるかといえば、言う迄もなく真理の具現である。真理とは何ぞやというと、勿論自然そのままの姿を云うのである。東から太陽が出て、西に沈むという事も、人間は生れれば必ず死ぬという事も、之は仏説の所謂生者必滅会者定離という...
自観叢書

理屈の迷信

今日、迷信という事を非難し軽蔑するが、之は考えものである。それが特にインテリ人に多いのも困った事実である。然らば迷信は如何なる原因によって発生するかを、明かにする必要があろう。先ず現在の人間生活を見る時、この世の中はあまりにも理屈に合わない...
自観叢書

直観の哲学

私は若い頃、当時持て囃されたフランスの哲学者、故アンリ・ベルグソン氏の学説に共鳴した事がある。その説たるや、今も尚想出す事がよくあると共に、信仰上からいっても裨益する処大なるものがあるから、茲にかいてみるのである。氏の哲学の中、その根幹を成...
自観叢書

五智を説く

単に智慧といっても種々ある。今それを分類してみよう。先づ最高は神智、次が妙智、叡智、才智、奸智の順序で、大別して五段階になる。私は名づけて五智という。之を一つづつ説いてみよう。神智とは最高の智慧で、之は普通人には得られない。特別の人が神から...
自観叢書

真理と非真理

昔から真理という事は誰も言うのであるが、非真理、即ち偽理という事は言わないようである。処が凡ゆる実際問題を検討するに当って、此真理と偽理との区別のある事を知らなければならない。それによって結果に重大関係があるからである。それ等に就ていつも思...
自観叢書

序文

此著は、本教刊行の光新聞、及び雑誌地上天国に掲載した論文中から、取捨選択したもので、成可興味に富み、魂の糧として有意義なるもののみを抜いたのである。尤も、相当改竄(カイザン)した点もあり、補足した所もあり、出来るだけ完璧を期したので、已に...
自観叢書

序文

編輯部客員松井誠勲氏は、此著に明かな如く、基仏を初め宗教上の各分野に渉って蘊蓄(ウンチク)深く、為に本教に対しての批判も、その犀利(サイリ)の眼と明徹なる言説は、宗教批評家として已に一家を成してゐると思ふ。偶々、余を以てキリストと比較検討さ...
自観叢書

死線を越えた話

私が治療時代、某会社重役の夫人、(三十歳)重病の為招かれた事があった。勿論医師から見放されたのであって、その家族や親戚の人達が、是非助けて欲しいとの懇願であったが、その患者の家が、私の家より十里位離れてゐるので、私が通ふのは困難であるから、...
自観叢書

精神病

十七歳の女学生の精神病を扱った事がある。之は非常に暴れ、或時は裸体となって乱暴する。其際三人位の男子でなくては制えられない程の力である。又大いに威張り母親を叱りつける事がある。然るに此原因は左の如きものである事が判った。即ち娘の父は数年前没...
自観叢書

癲癇

癲癇の例として十数年前私の家に使用してゐる下婢の事を記いてみよう。之はよほど面白い例で、最初の頃は発作するや意識を失ひ所構はず倒れるが、その際の面貌は物凄い程で、顔面蒼白、唇は紫色になり、舌を噛み口唇から血液が流出してゐる。その状宛かも殺害...