瘍疔

症状は顔面部を主とし、頭部背部等が重なるものである。之は患部は腫脹し、発熱、痛苦を伴ふものである。此病気の特異性は、初めは腫脹だけにて主点がないのである。自然療法によって必ず治癒するのであるが、医療は氷冷、塗布薬等によって、毒素の排除を停止せんとする為、盛んに集溜しつつある毒素は、方向を転じて深部に集溜する事になって、病気は増悪するのである。又、手術によって毒素を排除する事もあるが、それは集溜した分だけは排除されるが、盛んに集溜しつつある後続膿は方向転換するから、つひに生命の危険さへ生ずるのである。

(医学試稿 昭和十四年)