胆嚢

胆嚢に関する病気は、黄疸、胆石病であるが、黄疸は人の知る如く全身黄色を呈し、甚しきは分泌物及び排泄物も黄色を呈し、眼球も白眼も黄色となるのである。原因は肝臓の外部へ毒素溜結して肝臓を圧迫し、肝臓の裏面にある胆嚢が圧迫され胆汁が溢出する。軽症は自然治癒で治るが重症に至っては、毒素の溜結を解消しない限り治癒し難いのである。

胆石病は、肝臓の深部が非常に痛むのである。時により肝臓と胃の中間部に激痛がある事がある。前者は胆嚢の痛みであり、後者は胆管の痛みである。(結石が輸胆管を通過する為)之は腎臓の尿毒が背部より浸潤するのである。此毒素が胆汁と化合すれば、硬化して結石となるのである。之を治癒するには、非常に運動して腎臓部に発熱を起し、其浄化作用によるより外治らないのである。然し、自然治癒によっても幾分宛かは治るのである。

(医学試稿 昭和十四年)