私は約三十年、信仰生活を続けて来たが、其長い間殆んど茨の道であった。官憲の圧迫、借金の苦しみ、病苦との闘い等々、筆舌に尽し難きものがあった。人間としての凡ゆる苦しみを体験したような気もする。その半面神の守護、人々の支援等も尠からずあって、苦楽相半ばするという訳であった。それ等によって神仏の実在、信仰の妙諦、生と死との意義等々、幾多の貴い経験を経て知り得た中から、興味あるもの、教訓に富んだもの等を集録して成ったものが此著である。信仰者にも無信仰者にも、学者にも一般人にも、理解され得るよう意を注ぐと共に、此著を読んで些かなりとも安心立命の目的に資するを得れば幸いと思う次第である。
(信仰雑話 昭和二十四年一月二十五日)